独占欲 -side L-
脇腹に残る傷跡に、ゆっくりと口唇を這わせた。
反射的に押し殺したような呻き声が頭上で響く。
痛みのせいではないであろうその声に満足して、顔を上げた。
「痛いか?」
聞かなくても分かっていることを問いかければ、案の定スザクは首を横に振った。
そのスザクの目は先程までとは違って、情欲に濡れた視線を自分に向ける。
視線は外される事なく、まるでいとおしむ様に濡れた髪を梳かれた。
「ルルーシュ…」
あの時につけられた銃痕は、スザクの皮膚を醜く引き攣らせていた。
この傷をつけたのは、紛れもない自分。
軍人らしくなく、他には何一つ傷のない身体に唯一残る痕は決してこの先消える事はない。
家族という形とは違う、自分にとって唯一失くせない存在。
何よりも大切な彼のこの身体に自分の為とはいえ、他人がつけた傷なんて許したくない。
「大丈夫だよ、もう痛くないから。」
はぐらかしたようなスザクの言葉に、噛み付くような接吻を仕掛けた。
この傷がある限り。
「お前は俺のものだ、スザク」
傷跡へと伸ばした手はスザクに力強く捕まれ、その手はシーツへと縫いとめられた。
2006.11.12