交際宣言。


ルルーシュ・ランペルージという存在は、学園内では知られた存在だった。
学園を運営するアッシュフォード家の才女、生徒会会長のミレイ・アッシュフォードに次ぎ、生徒会副会長という立場であるが故ではない。
何しろ立っているだけで目立つ存在なのだ。
サラリと風に揺れる黒髪に、アメジストの瞳、そのすらりとスカートから伸びる足に何人が釘付けにされたであろう。
見目だけでなく頭脳明晰な彼女は、学園内ではミレイと並んで高嶺の花として、その名を馳せている。
気軽に見せることのない笑顔を求めて、彼女に挑んだ者は数知れない。
正攻法で告白された事はもう両手でも足りず、更に思わぬ場面で遭遇する事もある。


「ルルーシュ・ランペルージ!俺と付き合ってくれっ!」
「うぎゃあぁぁっ!!」


例えば今回の場合。
おおよそ女性という立場からしたら似つかわしくない悲鳴を上げたルルーシュの目の前には、勢いよく飛び出してきた男子生徒の姿があった。
よしんばそのまま彼女の身体に触れようとしたその勢いに、さすがにルルーシュも逆らえない。
廊下曲がり角から飛び出してきたその姿に諦めるように覚悟を決めて、びくりと身を震わせたそのきっかり一秒後、どすりと重たい音が響いて、静まった。


「まったく、何回僕のものだって言えばこの学園の生徒は気が済むのかな」
「スザク!」


男一人床へ沈めておいて、まったく息も切れていない。
そもそもどこから現れたのかと思えばルルーシュの姿を見つけた教室内からなのだから、瞬間移動でもしたのかと聞きたくなるほどのダッシュ力だ。
そのスザクの手は、ちゃっかりとルルーシュの腰に回っていたりする。


「誰がお前のだ!」
「ルルーシュが、僕の。」


わざわざ指差し確認まで付け加えてにこりと笑うスザクを、ルルーシュは息を詰まらせながらも睨み付ける。
ここ最近で僅かに開いた身長差が、自然とルルーシュを上目遣いにさせて、はっきり言ってスザクにとっては逆効果だった。
顔を赤らめて反論する姿は、肯定しているようにしか見えなくて、思わずスザクの頬が緩みそうになる。


「違わないよね?」
「―――知るかっ」


それでも腰に回るスザクの手に反論しないルルーシュに、教室内から顔を覗かせた二人は思わず溜息をつく。


「あーあー、いい加減ルルも諦めればいいのに」
「ルルーシュに誰かが告白する度に、これだもんなぁ」
「ルルってばあれで付き合ってないって言い切るんだから、何ともねぇ」
「シャーリー!リヴァル!聞こえてるからな!」


「「はいはい」」


二人の声は見事なタイミングで重なり、更に予鈴のチャイムにまで重なった。



あとがき(反転)

ついにやってしまいましたよー!
ずっと最近ブームだったんで、ついつい自分でも。
でもこれ、にょじゃなくてもいけるとか言っちゃ駄目ですよ?(爆)
にょはぎあすとか関係なく、ただのドタバタラブコメでやりたいです。
幸せすざるるが書きたいぞーっ、というモットーでお送りします(笑)

2007.10.22