・Please wait...
スザクが白いナイトメアのパイロット―――
技術部にいるはずの彼が、黒の騎士団の動きに連動して忙しかったわけ。
自分が黒の騎士団に身を置いている時に、一度も連絡が無かった理由。
全て判った。
当たり前だ。
ゼロとして立つ自分と同じ場にいたのだから。
その事実を忘れられたらどんなに楽だろう。
今までどおり白兜のデータ分析をして、それに基づいて追い詰めて撃退する。
何よりも目的の為に邪魔だったあの機体を破壊する事を、黒の騎士団のゼロとして。
鏡を取り出して自らの右目を映しすと、ギアスを発動させる。
そんな事をしても、もう自分にそれがかかる事は無い。
同じ人物に二度は効かない。
その制約をこれ程呪った事は無い。
今、何よりも必要なのに。
先程の出来事を、パイロットの正体を、スザクの存在を忘れる事が。
本当に大切なモノは遠ざけておくものだ―――
あぁ本当にそうだな、C.C。
何故もっと早くに彼の存在を、温もりを忘れなかったのだろう。
一度手にしてしまった唯一の者を手放すのが怖くて、逃げて誤魔化し続けて、そして気付いた時には遅すぎた。
自分という存在を消してテロという破壊活動をしながら、自分を認めて受け入れてくれる幸せに浸かった罰とでもいうのだろうか。
「ふっ…ふ、はははは…」
―――スザクにギアスを。
自分の存在を彼に忘れさせてしまえばいい。
自分を惑わす存在を、消してしまえばいい。
そうして、孤独に身を置いてしまえばいい。
愛している、愛していた。
壊れてゆく心を止められない程に。